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旅行やドライブで撮り貯めた写真と、行く先々で生じた疑問を調べた「自由研究」を紹介しています。

なぜ、松川の石が赤茶色なのか?

長野県高山村の山田温泉を訪れた際、松川渓谷を流れる松川の石が赤茶色になっているのが気になって調べてみた。

松川 高井橋付近(長野県高山村)
松川渓谷 高井橋付近

松川(山田温泉付近)の赤茶色の石(長野県高山村)
松川渓谷の赤茶色の石

米子大瀑布 ウラノ沢 熊野権現橋付近(長野県須坂市)
米子大瀑布 ウラノ沢 熊野権現橋付近

ウラノ沢の様に、小さな沢の石が変色しているのは、たまに見かける。しかし、松川のような大きさの川では、珍しいように思う。

酸性の川
松川について調べると、上流にあった高井鉱山などの影響で、酸性の川 ※1 だということがわかった。川の石が赤茶色に変色しているのは、上流にあった高井鉱山などから流れ出た硫化鉄の影響。米子硫黄鉱山 ※2 の下流となる百々川(どどがわ) も酸性の川とのこと。松川・百々川が流れる須坂市は、酸性の川の集中地帯であった。

小布施の栗
栗で有名な長野県小布施町は、松川の下流の扇状地に位置する。酸性の土壌のため、米や麦の栽培には適さないが、栗の栽培には適した土地であるとのこと。 ※3

硫黄鉱山
さらに鉱山について調べると、松川の上流に、横手山鉱山 ※4 、松川の支流にあった高井鉱山の奥、県境を越えて群馬側に小串鉱山 ※5 、万座鉱山 ※6などの硫黄鉱山が見つかった。
これらの鉱山は、人里離れた山奥の標高の高いところにあり、さらに鉱石を運び出す索道も整備されていたことに驚いた。しかも、地すべりや雪崩などで多くの犠牲者が出ており、過酷な条件の中で採掘が行われていたこともわかった。

雲上の楽園
硫黄の採掘は戦前から始まり、昭和40年代前半まで続けらていた。戦前は火薬の製造などの軍需産業に、戦後は化学工業の発達により需要が増加し、硫黄が「黄色いダイヤ」と呼ばれるほど、相当のコストをかけて採掘を行っても、それに見合う収益があったとようだ。上記の小串鉱山や、東洋一の産出量を誇った松尾鉱山※7(岩手県八幡平市)など、多くの労働者やその家族が移り住み山の上に小さな町が造られることもあった。特に「雲上の楽園」と呼ばれた松尾鉱山では、鉄筋コンクリート造りのアパート群が標高900m前後の山の上に建てられた。
しかし、海外から輸入される安価な硫黄や、石油精製の過程で脱硫装置により回収される低コストの硫黄が市場に出回ったことにより、採掘の採算がとれなくなり、国内の硫黄鉱山は昭和40年代半ばには全て閉山に追い込まれる。急激に閉山が進み、あとには廃墟や鉱害による酸性の川が残された。松尾鉱山の跡には、廃墟となったアパート群などが残されており、鉱毒水の中和処理が現在も続けられている。

硫黄鉱山と松川
松川の酸性化について調べる中で、日本各地にあった硫黄鉱山の近くに、いくつもの「松川」が流れていることに気づいた。旧松尾鉱山の近くには松川・赤川 ※8 (こちらの松川は中性で、赤川が酸性)が流れている。山形県米沢市のスキー場で知られる天元台 ※9 にもかつて硫黄鉱山があり、ここにも酸性の松川が流れている。

マツは火の古語?
松川という名前の由来について正確にはわからなかったが、古語ではマツは火をあらわすという柳田国男の説 ※10 があるとのこと。松明(たいまつ)には、松の松脂を多く含んだ部分を用いるなど、松(マツ)は火に関わる言葉でもあるとする説も頷ける。とすると、「松川(マツカワ)」は、「火の川」ということなのか?
硫黄もマッチや火薬など火に関わる物質であるから、硫黄鉱山の近くの川が松川の名で呼ばれるのも、「マツは火の古語」説と深い関係があるように思われる。この件については不明確な点も多く、時間は掛かるとは思うが、引き続き調べてみたい。


<参照URL>
※1 酸性の川
 川と扇状地 百々川と松川
http://www.janis.or.jp/users/gann/tisitu/100sen/kawa/dodogawa.htm

 酸性川
 http://www.naito-kantei.jp/blog/page.php?_id=70


※2 米子硫黄鉱山
 廃鉱山探検 米子鉱山(米子硫黄鉱山)大黒坑
 http://blog.livedoor.jp/urayamaex/archives/4006092.html

 廃鉱山探検 米子鉱山(米子硫黄鉱山) 旭坑
 http://blog.livedoor.jp/urayamaex/archives/4007940.html

 廃鉱山探検 米子硫黄鉱山「ソブ池の周辺」
 http://blog.livedoor.jp/urayamaex/archives/2731604.html


※3 小布施の栗
 小布施の栗栽培
 http://hometown.infocreate.co.jp/chubu/obuse/rekisi.html

 小布施の農業
 http://www.osaka-ue.ac.jp/zemi/enshu/Fieldwork/GroupReport.html


※4 横手山鉱山
 廃鉱山探検 横手山鉱山(横手山硫黄鉱山)
 http://blog.livedoor.jp/urayamaex/archives/3009741.html


※5 小串鉱山
 小串鉱山の廃墟(徹底した文献調査で、資料が充実しています)
 http://www.geocities.jp/gunmakaze/column/14ogushi.html

 小串鉱山(操業時の写真があります)
 http://kazeno.info/karuizawa/9-hoka/9-hoka-1-10.htm

 廃鉱山探検 小串鉱山の長野県側(高井鉱山側)
 http://blog.livedoor.jp/urayamaex/archives/2974807.html


※6 万座鉱山
 廃鉱山探検 万座鉱山(万座鉱山:入道沢鉱山)
 http://blog.livedoor.jp/urayamaex/archives/2748316.html


※7 松尾鉱山
 松尾鉱山1(廃墟となったアパート群)
 http://homepage3.nifty.com/rurounotami/ruins_matsuo_1.htm


※8 松川・赤川
 岩手県赤川・松川流域における水環境とその利用
 http://www22.atwiki.jp/mitakeclimber/?cmd=upload&act=open&page=%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%80%80%E7%BD%AE%E3%81%8D%E5%A0%B4&file=080129%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%82%80%E3%82%89%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%A1.pdf#search=


※9 天元台
 天元台(松川上流にそそぐ)
 http://www5a.biglobe.ne.jp/~takitaro/matsuka3/matsu07.htm


※10 マツは火の古語
 柳田国男 「火の昔」柳田国男全集(14) 筑摩書房に収録

 おまつの神事:冨留山神社
 http://www.geocities.jp/k_saito_site/album29.html

 城屋の揚松明 '09
 http://w01.tp1.jp/~a021223941/agedaimatu09.html


※ 長野県の地形に関してはこちらが参考になる
 長野の大地みどころ100選
 http://www.janis.or.jp/users/gann/tisitu/100sen/100sen_mokuji.htm

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